人外種

人間に酷似した外見を持つ生き物。骨組織の発達などにより、角や牙、尾や変形した耳を持つ者もいる。

戦時を境に北ヨーロッパ沿岸で見られるようになった。個体数の多いものに人狼、ヴァンパイアなどがある

全種保全管理機構

人間と積極的な交渉を行う人狼によって設立された政府関連法人。人外種に新たな名称「プロミネント」を与え、すべての人外種の絶滅の阻止を理念とする

ロッジメント

「群れ」を機能化し、特定地域に拠点を設置すること。全種保全管理機構(ABCA)の進める絶滅阻止計画の施策の一つ。アジアでは前例がない

海面の上昇

全球平均気温が二十度を越し、海面は二千年代から八十メートル超上昇している。多くの生物が絶滅に追い込まれる他、沿岸部に位置する大都市はことごとく水没し、人々は住居を内陸へ移すことを余儀なくされた

無人戦争

海面上昇による環境変化を遠因とする紛争の総称。ドローンやロボティクスの発展と相まって百五十年近く続いたのち、兵器の大規模規制をもって一応の収束を見せつつある

地球人口の減少

戦争の影響に加え、医療技術の拡大による能動的な延命や再生医療への関心、AIによる労働の変質などを背景に人々の「産み育てる」ことへの関心は弱まり、地球人口は38億まで減少した

シェルターと涯地

内陸へ移動した大都市は各地の環境に応じてシェルターを形成し、都市の効率的な運用と安全を手に入れた。一方で残された土地は荒廃の一途をたどり、ほぼ人の住まなくなった沿岸部を含め「涯地」と呼ばれるようになる

植物障壁

大気汚染や温暖化への措置として導入された障壁作物。土地によっては適応するが、東南アジアで試験的に導入された新種が蔓延し、巨大構造物が呑み込まれるなどの被害に至る。結果、アジアの一部はシェルター間の移動がより困難になった

流通と移動の減少

居住地のシェルター化・植物障壁による交通困難地域の拡大により、人々は次第に移動の概念を失っていった。物流も減少し、シェルターごとの供給機能があらゆる生産を担うようになる。人々のあらゆる娯楽はVRで提供されるようになった

三つの名を持つ島

なぜか三つの名前で呼ばれている島。由来もさまざまで、人はそれぞれに親しんだ名で呼んでいる。対外的な商業地名としては「鳳嶺島」という名称が用いられるが、比較的近年につけられたため、いまだその名を知らない者も多い

夢游仙境

鳳嶺島にある複合商業施設。カジノを中心とし、そこを訪れる人々へ向けたさまざまな娯楽が用意されている。リアルな遊興を求める富裕層が週末ごとに集まるが、宿泊施設はなく、定時の船で島外へ戻る決まりになっている

本島

鳳嶺島から十キロほど先にある大きな島。さらに二百キロほど内陸へ向かうと、人間たちの居住するシェルターがある。沿岸部は過疎化しているものの、海岸の浸食を防ぐための護岸事業に従事する人々などが住んでいる